2013年01月12日 23:37

コード進行の複雑化

今回は、カプースチンが
単純なコード進行を複雑にしていく、
<その過程>をお見せしましょう。

「Gingarbread Man」Op.111
(ジンジャーブレッド・マン)

楽譜は
「ピアノアルバム 1」(プリズム版)
72ページ、1番下の段、2〜3小節目、
全体の小節番号でいうと
15〜16小節目を見て下さい。

このコード進行は、
どうなっているのでしょう?

今回は、このコード進行を解説します。

     ☆

その前に予備知識として、
<キーC>の場合、
ドミナントからトニックへ行く進行
  |G7|C|の時に、
ドミナント音の上にトニックを乗せる
 |C(Bass G) G7|C|
こんなことは誰でもよくやりますね。

他の作曲家も沢山使っています。
和声法の「46(シロク)」の和音。

誰でも(あなたも)知っているのは、
「ハノン」の長音階を練習した後に、
|C F C(Bass G) G7|C|
という和音の終止形がありますよね。

ここで使われていたのですが、
思い出しましたか?

ここまでが予備知識でした。

では、ここからが本題です。

     ☆

<キーA>で、上記の話を書くと
 |E7|AM7|の場合、
以下のようになりますよね。

|A(Bass E) E7|AM7|

今回のカプースチンは、
「E7」の位置を次の小節に変えました。

|A(Bass E)|E7 AM7|

次に「E7」の前に
「E7」に行くための一時的なドミナント
「B7」を持ってきます。
(和声法でいうドッペル・ドミナントです)

|A(Bass E)|B7 E7 AM7|

さらに「B7」に行くためのドミナント
「F♯7」を前の小節に持ってきます。

|A(Bass E)F♯7|B7 E7 AM7|

さらに「F♯7」に行くためのドミナント
「C♯7」を考えます。

|A(Bass E)C♯7F♯7|B7E7AM7|

ただし、ここだけは「C♯7」を使わずに
代理コードの「G7」にしています。

|A(Bass E)G7F♯7|B7E7AM7|

これで出来上がりです。

カプースチンの楽譜と見比べて下さい。

以下で復習しましょう。

<コード進行の複雑化>

|E7|AM7|

|A(Bass E) E7|AM7|

|A(Bass E)|E7 AM7|

|A(Bass E)|B7 E7 AM7|

|A(Bass E)F♯7|B7 E7 AM7|

|A(Bass E)C♯7F♯7|B7E7AM7|

|A(Bass E)G7F♯7|B7E7AM7|

これで完成です。

カプースチンの楽譜をよく見て比べて下さい。

以下は、
逆に<コード進行の単純化>です。

|A(Bass E)G7 F♯7|B7 E7 AM7|

|A(Bass E)C♯7 F♯7|B7 E7 AM7|

|A(Bass E)F♯7|B7 E7 AM7|

|A(Bass E) |B7 E7 AM7|

|A(Bass E) |E7 AM7|

|A(Bass E) E7|AM7|

|E7 |AM7|

どうですか?
よくわかりますよね。

複雑に見えるコード進行も
このように単純化すると
分かりやすいでしょう?

     ☆

では最後に<応用問題>です。

この曲
「Gingarbread Man」Op.111
(ジンジャーブレッド・マン)の
111〜112小節目を見て下さい。

78ページ最後の小節から
79ページ最初の小節です。

このコード進行は
どうなっているのでしょう?

キーは違いますが、
ものすごくよくわかりますよね?


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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴60年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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