2009年09月04日 23:49

コード進行マジック!

「カプースチン・マジック」の続きを話そう。

昨日(前回)の話には、まだ続きがあるのだ。

前回の話を読んでいない人は、
この記事のすぐ下にある記事から読むといい。

気楽なジャズ理論エッセイとして
 今回も楽しんでくれたらいいと思っている。

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、
今回も「フィナーレ」(Op.40-No 8)から学ぶ。

提示部(キーE♭) [B2] 55〜62

  | Fm7 | Gm7 | A♭M7 | Am7 D7 |

  | Gm7 | C7 | Fm7 | B♭7 |

上に書いた前半4小節は、すでに前回学んだね。

今回は、後半の4小節を学ぼう。

| Gm7 | C7 | Fm7 | B♭7 | 次は→E♭(トニック)

トニック(E♭)に向かって完全4度(上行)の進行。

ジャズでは典型的な、ごく当たり前の進行だよね。

私の生徒なども普段から12キーで練習している。

私が「カプースチンの曲は覚えやすい」と言う意味は
ジャズ理論でバッチリとつながっているからなんだ。
(ピアノのテクニック的なことは別にしての話だよ)

ジャズの曲を何百曲でも覚えられるのは、
       理論的に理解して覚えるからなんだ。

この例の場合、「Gm7」を弾けば、後のコードは
  見なくても勝手に手が弾いてしまうんだよ。

キーは何でも同じように弾ける。

例えば、カプースチンの「フィナーレ」、
再現部では「キーF」に転調して出て来るんだけれど、

 | Am7 | D7 | Gm7 | C7 |→F(トニック)

こうなるはずだよね?

さて、ここから本題に入るよ。

「カプースチン・マジック」だ。

 | Am7 | D7 | Gm7 |  ?  |→F(トニック)

カプースチンは3小節目まで聞かせておいて

「さあ、次のコードは何かな?」

と問い掛けてくるんだ。

   | Am7 | D7 | Gm7 |  ?  |

当然、ジャズ理論の初心者は、

「♪バカにしない〜でよ〜。C7でしょう」と歌う。

ところが、ところが、カプちゃんは、
いつものようにさりげなく別のコードを弾くんだ。

「さあ、何を弾くだろう?」

考えてほしい。

次のコードは、「F」(トニック)に行っている。

つまり  | Gm7 | ? | F | となっている。

すぐに思い付くのは
「C7」の代理コード「G♭7」だけれど、
今回は違う。別の可能性を考えてくれ。

「さあ、何だろう???」

ここで、しばらく考えようぜ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カプースチンはね、
  他の曲でも後半は同じことをやらないんだ。

必ず「一ひねり、二ひねり」いや、もっとかな?

それが、スッゴク面白くて、勉強になるんだね。

では、ここで、答えを教えよう。

カプースチンは、次のように弾いているんだ。

   | Am7 | D7 | Gm7 | G♭M7 |

「フィナーレ」(145〜148)

何と、「G♭M7」だ!

「C7」の代理コード「G♭7」ではないからね。

よく見てよ。「G♭M7」だ。

つまり、ドミナントではなく、
  サブドミナント・マイナー系のコードになる。

ドミナントでも説明出来ないことはないけれど、
ちょっと複雑になる。

C7(sus4) (♭9) 系の代理と言えばわかるかな?

何?余計にわからなくなったって…!

いいよ、いいよ、今は、それでいい。

わかってほしいのは、カプースチンは「一ひねり」
   「二ひねり」するということなんだ。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今回、あなたに伝えたいこと。

それは、カプースチンの曲でも、ジャズの曲でも、

       曲の覚え方のコツだ。

☆典型的なコード進行は、
        普段から12キーで練習しておく。

☆あとは今回学んだように、その曲の特徴的な部分、
   「一ひねり」の部分だけをポイントで覚えていく。

ジャズ理論を学べば、
  ピアノの練習時間がかなり短縮出来ると思う。

特に、スタンダード曲と、カプースチンの作品はね!

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴60年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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