2008年05月10日 05:22

「A列車で行こう」(2)

 〜NHKジャズピアノ講座(6−6)〜

「A列車で行こう」(修正)2回目です。
          今回も勉強になりますよ。

何とも不思議な「ミスプリント」の話です。

(1回目は、5月2日の記事です)

「今日からあなたもジャズピアニスト」
NHK趣味悠々 テキスト ¥1、260

テキストの55ページを開いて下さい。

下から2段目1〜2小節の「Dm7 | G7」
メロディー「ラ」(全音符)から「タイ」が次の小節へ。

次(56)ページ上段1〜2小節目も同じですね。

         ところが!

この56ページ下段の1〜2小節目は?

   何と!「タイ」が、ありません?

3回とも同じメロディーで、前の2回は「タイ」があるのに、
この3回目だけは「タイ」が、ない?

これは完全な「ミスプリント」ですね。

「本当だ。じゃあ<タイ>を付ければいいんですね」
と、あなたは早速「タイ」を…。

「おっとっと、早まってはいけません」

ここから<不思議な話>が展開します。

実は、この明らかな「ミスプリント」が、
            実は、実は「正解!」なんです。

「え!どういうこと…?」

つまり「タイ」がない方が「原曲」なのです。
「タイ」があるのは、ヒロコ先生の「フェイク」。
(いや、「タイ」付きの楽譜も少しありました)。

「G7」のメロディー1拍目の「ラ」から弾くのが原曲で、
ほとんどの楽譜が、そうなっています。

しかも、1拍目「ラ」には歌詞が付いています。
      歌なら歌詞を省略する訳にはいきません。

しかし、演奏の時は許されるのですね。
(デューク・エリントンが、やっているのかな?)

ただし、あなたは、まず原曲を覚えましょう。

いつも話しているように、
    原曲を知った後なら
       どこをどのように変えてもいいのです。

ということで、ミスプリントは、そのままにして、
       「タイ」(あっている方?)を取って下さい。

なお、「タイ」を付けているアレンジも
        少しですがありましたので、
     原曲を知った上でやるのなら構いませんよ。

           ☆

それから、もう一つ「G7」のメロディーについて。

「ラ、♯ラ、シ、ミ、ソ、♭ソ、ファ、レ」の最後の「レ」。

実は、この「レ」、原曲は「♭レ」なのです。
     (いろいろな楽譜を調べて下さい)

「G7」の1拍目からメロディーを弾いて、
           交互に聴き比べてみましょう。

あなたは、どちらが好きですか?

原曲は「♭レ」ですが、
       実際には「レ」で演奏する人も多いです。

この最後の音に注目して、
   いろいろな人のアレンジ譜を見たり、
      ジャズピアニストのCDを聴くと楽しいですよ。

この部分は、完全に2つの派に分かれているのです。

あなたは「フラット派?」、それとも「ナチュラル派?」

原曲を知っていると、こんな楽しみ方も出来るのですね。

あなたも持っている楽譜やCDを調べてコメントして下さい。

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コメント一覧

1. Posted by 陽だまりママ   2008年05月10日 10:19
そうなんですか〜。面白く拝見しました。私は、ヒロコ先生のアレンジで、今回のテキストではない、もっともっと長い「A列車・・・」の譜面とMiwako Hiroseと言う方のアレンジの譜面を持っていますが、全部タイになっていました。タイが取れると、私には、少し弾きにくいと感じられたのですが、こちらが原曲なんですね。G7のメロディの最後のレは、bレにすると、私には奇妙に感じられます。
私の脳がジャズでは、ないからでしょうか?
2. Posted by りんちゃん   2008年05月12日 23:06
5 A列車の詳しい解説ありがとうございます。お蔭様で原曲がよくわかりました。私も最後のレ♭に驚きいくつか、聴いてみたり、譜面を見てみました。譜面は5種類見たうちリトーミュージックの「はじめてのジャズ」だけ、レ♭。演奏は、オスカーピーターソンはレ、レイ,レイ ブライアントはレ♭みたい。ミルト ジャクソン(Vibes)レ 、デュークエリントン楽団 フェイク&聴き取れず でした。Bの部分は、原曲どおりの ミファ〜ラド〜、、、ミファ♯〜ラド〜が多かったです。
3. Posted by りんちゃん   2008年05月13日 08:49
追伸 管楽器の音はレとレ♭の間辺りに聞こえてしまったのですが、後でデュークエリントン自身のピアノ演奏を聴いたらレ♭でした。本家本元は、当然原曲どうりですか。A列車は参加しているバンドで何度も演奏していて、当然レと思っていたので、大きな驚きです。
4. Posted by テルさん   2008年05月14日 02:39
 陽だまりママさんへ、「♭レ」は何回も聴いていると慣れてくるのでは?左手で「G7」基本コードを同時に弾いたりすると違和感があるので、メロディーを単音で弾いて聴いて下さい。
 りんちゃんは、いろいろな情報をありがとう。「♭レ」の楽譜や演奏があったでしょう?良かったですね、新しい発見があって。
 B部分は当然ですよね。こう弾かなければ意味がないですから。
 それからエリントンが「♭レ」だった報告はみんなも勉強になります。知らないで「レ」を弾いている人は、まだまだ沢山いますからね。知っていて弾くのなら問題ありませんけれど。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴60年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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