2007年12月01日 06:23

「幻想即興曲」分析(2)

ショパン「幻想即興曲」(作品66)分析の続きです。
<Fantaisie-Impromptu Op.66>

今回は、8小節目「G♯7」のフレーズを徹底分析。
このまま通り過ぎるのはモッタイナイ!
なぜなら、アドリブ・フレーズにいただけるからです。

分かり易いように「G7」に移調して分析します。

あなたは五線紙に書き出して下さい。

「G♯7」を半音下げて「G7」に、そして16分音符を
2倍の8分音符で2小節にします。
3小節目は「ソ」の音だけを書いておいて下さい。
以下のようになります。

|シ、レ、♭ラ、ソ、ファ、♭ラ、♭ミ、レ|

|ファ、ド、シ、レ、♭ラ、ソ、♭シ、♭ラ|ソ

「G7」のコード・トーンは「ソ、シ、レ、ファ」ですから、
それ以外の音が装飾的な音です。

注目して欲しいのは2小節目、最後の2音。
「♭シ、♭ラ」は、「♯9、♭9」です。

「これって、ジャズ!?」

このフレーズで出て来た各音を
「ソ」から順番に音階的に並べると、

「G7」では
「ソ、♭ラ、♭シ、*シ、ド、レ、♭ミ、ファ」
*4つ目の「シ」は「ナチュラル」です。

「G♯7」では
「♯ソ、ラ、シ、♯シ、♯ド、♯レ、ミ、♯ファ」

このスケールを数字(1度からの音程関係)で書くと
「1,♭2,♭3,3、4,5,♭6,♭7」

テンションで解釈すると
「1,♭9,♯9,3,4,5,♭13,♭7」

♪このスケールを12キーに移調して練習しましょう。
 ジャズ理論書に出て来る「HmP5↓」
(完全5度下のハーモニック・マイナー)に
「♯9」=(♭3)を加えたスケールと解釈出来ます。

先程のフレーズを数字(1度からの音程関係)と、
テンションで解釈すると以下のようになります。

「G7」(8分音符で)
1小節目
|シ、レ、♭ラ、ソ、ファ、♭ラ、♭ミ、レ|
|3、5、♭2、1、♭7、♭2、♭6、5|
|3、5、♭9、1、♭7、♭9、♭13、5|

2小節目
|ファ、ド、シ、レ、♭ラ、ソ、♭シ、♭ラ|
|♭7、4、3、5、♭2、1、♭3、♭2|
|♭7、4、3、5、♭9、1、♯9、♭9|

アプローチ・ノート(隣接音)を使ったお手本のような
美しいジャズ・フレーズですね。

「さすが、ショパン先生!」

次回は、このフレーズをスタンダード曲に使った
<応用編>です。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴60年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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