銀座の恋の物語
2017年07月24日
「銀座の恋の物語」分析2
ジャズ理論<上級者のみ>
ぜひ最後まで読んで下さい。
「絶対にありえない!」
<驚きの音使い>が出て来ます。
従来のジャズ理論では説明不可能。
あなたは「銀恋」に対して
見る目が変わります。
「これはスゴイ曲だ!」と…。
では第2回目を始めます。
☆
「銀恋」の形式は、
「A」(8)+「B」(8)+「C」(12)
合計28小節でしたね。
今回は「C」7〜8小節目。
|は、じ、め、て|あ、(あ)、たー|
この8小節目に注目して下さい。
|あ、(あ)、たー|3音のメロディー。
実際の音は|ミ、♯レ、シー|
コードは「E7」です。
「え!信じられない」と思いますよね?
「わからない」という人に説明しましょう。
「E7」のコードトーンは、
「ミ、♯ソ、シ、レ」です。
第7音は「レ(ナチュラル)」ですが、
メロディーは「♯レ」になっています。
「E7」で「♯レ」を使う場合、
普通なら「♯レ、ミ」のように
「ミ」に解決する音として使います。
上下の音から
「ファ、♯レ、ミ」
「♯ファ、♯レ、ミ」
半音の経過音として
「レ、♯レ、ミ」
または半音で下降する
「ミ、♯レ、レ(ナチュラル)」
(この場合は下降型ですが
「♭ミ」ではなく「♯レ」で書きます)
問題の旋律は、上の例にはなく、
「♯レ」が完全に独立して
長3度下の「シ」に行っています。
しかもコードは「EM7」ではなく
キー「Am」のドミナント「E7」です。
ここで従来のジャズ理論を復習しましょう。
ジャズ・コード「E7」を組み立てる時、
使っていい音は12音の内、11音ですね。
コード・トーンとテンションです。
1、3、5、♭7、(sus4なら4)、
9、♭9、♯9、♯11、13、♭13
以上の11音ですね。
「♭5」「♯5」はテンションの中に
異名同音があります。
使い方は違いますが今回の話とは
関係ないので省略します。
今回のポイントは、
「E7」では「♯レ=M7」以外の
11音が使えるが、
ただ一つ使ってはいけない「♯レ」を
堂々と歌のメロディーに使っている!
「こんなことが許されるのでしょうか?」
「当然、許されません」(普通のレベルでは)
しかし、
ごく一部の上級者なら許されるのです。
「なぜ?」
「根拠は?」
「どんな理由で」
「その上級ジャズ理論とは?」
ここから先は、
ほとんどの人は読んではいけません。
なぜか?
メチャクチャと紙一重だからです。
11音を充分に使いこなすまで、
10年、20年、人によっては一生。
それで充分にジャズを楽しめます。
今回あなたに知ってほしいのは、
「この曲はスゴイ曲だったのだ」
ということです。
(続く)
ぜひ最後まで読んで下さい。
「絶対にありえない!」
<驚きの音使い>が出て来ます。
従来のジャズ理論では説明不可能。
あなたは「銀恋」に対して
見る目が変わります。
「これはスゴイ曲だ!」と…。
では第2回目を始めます。
☆
「銀恋」の形式は、
「A」(8)+「B」(8)+「C」(12)
合計28小節でしたね。
今回は「C」7〜8小節目。
|は、じ、め、て|あ、(あ)、たー|
この8小節目に注目して下さい。
|あ、(あ)、たー|3音のメロディー。
実際の音は|ミ、♯レ、シー|
コードは「E7」です。
「え!信じられない」と思いますよね?
「わからない」という人に説明しましょう。
「E7」のコードトーンは、
「ミ、♯ソ、シ、レ」です。
第7音は「レ(ナチュラル)」ですが、
メロディーは「♯レ」になっています。
「E7」で「♯レ」を使う場合、
普通なら「♯レ、ミ」のように
「ミ」に解決する音として使います。
上下の音から
「ファ、♯レ、ミ」
「♯ファ、♯レ、ミ」
半音の経過音として
「レ、♯レ、ミ」
または半音で下降する
「ミ、♯レ、レ(ナチュラル)」
(この場合は下降型ですが
「♭ミ」ではなく「♯レ」で書きます)
問題の旋律は、上の例にはなく、
「♯レ」が完全に独立して
長3度下の「シ」に行っています。
しかもコードは「EM7」ではなく
キー「Am」のドミナント「E7」です。
ここで従来のジャズ理論を復習しましょう。
ジャズ・コード「E7」を組み立てる時、
使っていい音は12音の内、11音ですね。
コード・トーンとテンションです。
1、3、5、♭7、(sus4なら4)、
9、♭9、♯9、♯11、13、♭13
以上の11音ですね。
「♭5」「♯5」はテンションの中に
異名同音があります。
使い方は違いますが今回の話とは
関係ないので省略します。
今回のポイントは、
「E7」では「♯レ=M7」以外の
11音が使えるが、
ただ一つ使ってはいけない「♯レ」を
堂々と歌のメロディーに使っている!
「こんなことが許されるのでしょうか?」
「当然、許されません」(普通のレベルでは)
しかし、
ごく一部の上級者なら許されるのです。
「なぜ?」
「根拠は?」
「どんな理由で」
「その上級ジャズ理論とは?」
ここから先は、
ほとんどの人は読んではいけません。
なぜか?
メチャクチャと紙一重だからです。
11音を充分に使いこなすまで、
10年、20年、人によっては一生。
それで充分にジャズを楽しめます。
今回あなたに知ってほしいのは、
「この曲はスゴイ曲だったのだ」
ということです。
(続く)
terusannoyume at 23:38|Permalink│Comments(0)│
2017年07月23日
「銀座の恋の物語」分析1
ジャズ理論中級〜上級者は
ぜひ最後まで読んで下さい。
「え!何で?」と思うでしょうが、
「これはスゴイ曲だ!」と
目からウロコ状態になるでしょう。
従来のジャズ理論では説明不可能な
音の使い方が出て来るから驚きです。
では始めます。
デュエット曲の定番曲、
あなたは「銀恋」を知っていますよね。
形式は、
A(8)+B(8)+C(12)=28小節
イントロは8小節で、最後の2小節は、
|ラ、ソ、ミ|シ、ミ、♯ファ、ミ|です。
最後の小節は
コード「Am」なので、
|9、5、6、5|ですよね。
「9th」と「6th」が出て来て
ジャズっぽいですね。
そして歌が始まります。
「A」の1〜2小節目、
|ファ、ミ、ド、ラ|(繰り返し)
歌詞は
|こ、こ、ろ、の|
|そ、こ、ま、で|です。
コードは「Am」ですから
第5音「ミ」の半音上「ファ」
(アプローチ・ノート)から
曲が始まるなんて珍しい例ですよね。
しかもイントロの最後で
「6=♯ファ」を聞かせておいて
曲の頭は「ファ(ナチュラル)」です。
☆
さて、ここからが本題です。
この曲のスゴイところは〜
「B」の1〜2小節目
|な、み、だ、が|
|お、も、わ、ず|のところです。
この2小節目(おもわず)は、
コード「Dm」で、
メロディーが
「ラ、♯ソ、ファ、ファ」なんです。
「ビックリしましたか?」
「いや、何だかわからない?」
解説しましょう。
この「♯ソ」の次に「ラ」があるなら
驚きません。
「ラ」に行くための半音下の
アプローチ・ノートですから
ごくごく普通です。
ところが、
この「♯ソ」は「ファ」に行っています。
普通「ラ」から「ファ」に行く経過音は
「ソ(ナチュラル)」に決まっています。
「ラ、ソ、ファ、ファ」になります。
スケールは「ドリアン」ですからね。
では「♯ソ」は、異名同音の「♭ラ」で
ブルーノート「♭5」なのでしょうか?
その可能性もあるかもしれませんが、
ここは「♯ソ」で良いと思います。
「B」の1小節目
|な、み、だ、が|のメロディーは
|ラ、ラ、ラ、♯ソ|で
「が=♯ソ」のすぐ後で
2小節目|お、も、わ、ず|の
「も=♯ソ」が出て来るのです。
前小節の「♯ソ」を次の小節で
もう1回繰り返して使ったのですね。
「♭5」ではない理由として
後半に別の形が出て来ますので
そこでもう1度説明しますね。
では、この「♯ソ」は何でしょう?
答えは「♯4=♯11」で、
スケールは「ドリアン♯4」ですね。
スケールの構成音は
「レ、ミ、ファ、♯ソ、ラ、シ、ド」
海外のジャズ理論書には
以前から出ていたスケールですが、
(日本のジャズ理論書は遅れていて)
最近の教則本で少しずつ
日本語でも見かけるようになりました。
従来のジャズ理論を学んだ人なら
「HmP5↓」を知っていますよね。
「完全5度下のハーモニック・マイナー」。
このような言い方で「ドリアン♯4」を
説明すると「HmP4↓」になります。
「完全4度下のハーモニック・マイナー」。
つまり「Dm7」のルート「D音」から
完全4度下「A音」の和声的短音階。
逆に言えば「Am」の和声的短音階を
「レ」から弾けば「Dドリアン♯4」
になります。
「Am」の和声的短音階
「ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、♯ソ」
「Dドリアン♯4」
「レ、ミ、ファ、♯ソ、ラ、シ、ド」
「わかりますか?」
次に、この曲の後半で、
別の形で使われている所を見て下さい。
「C」の5〜6小節目
|わ、か、い、|
|ふ、たー、り、が|のところです。
この2小節のコードは「Dm」で
6小節目のメロディーは
|ラ、ラ、♯ソ、ラ、♯ソ|です。
次の7小節目はコード「Am」で
8分休符が入ってからメロディー「ミ」。
つまり6小節目、最後の「♯ソ」は
完全に独立して使われていますよね。
ということは「♯11=♯4」です。
もし異名同音「♭ラ」
(ブルーノート)なら
次に「ミ」へ行くのは(休符が入っても)
何か変?ブルースっぽくありません。
「いかがでしたか?」
この曲の「すごさ」がわかりましたか?
でもね、不思議です。
この曲が発表されたのは
1961年(昭和36年)で
映画の公開は1962年3月。
現在でも「ドリアン♯4」なんて
知らない人がほとんどなのに、
約57年も前に作曲者は
知っていたのでしょうか?
多分、別の理由で使ったのでしょうね。
例えば、
Amの和声的短音階を意識して作った。
または、
民族音楽的な音階を使っている?
☆
さて、この曲、
これで話が終りではありません。
何と!この後にもっともっとスゴイ、
「もう信じられな〜い」
「絶対にありえない!」
驚きの音使いが出て来るのです。
「ジャズ理論上級者は絶対に読んでね」
お楽しみに!
ぜひ最後まで読んで下さい。
「え!何で?」と思うでしょうが、
「これはスゴイ曲だ!」と
目からウロコ状態になるでしょう。
従来のジャズ理論では説明不可能な
音の使い方が出て来るから驚きです。
では始めます。
デュエット曲の定番曲、
あなたは「銀恋」を知っていますよね。
形式は、
A(8)+B(8)+C(12)=28小節
イントロは8小節で、最後の2小節は、
|ラ、ソ、ミ|シ、ミ、♯ファ、ミ|です。
最後の小節は
コード「Am」なので、
|9、5、6、5|ですよね。
「9th」と「6th」が出て来て
ジャズっぽいですね。
そして歌が始まります。
「A」の1〜2小節目、
|ファ、ミ、ド、ラ|(繰り返し)
歌詞は
|こ、こ、ろ、の|
|そ、こ、ま、で|です。
コードは「Am」ですから
第5音「ミ」の半音上「ファ」
(アプローチ・ノート)から
曲が始まるなんて珍しい例ですよね。
しかもイントロの最後で
「6=♯ファ」を聞かせておいて
曲の頭は「ファ(ナチュラル)」です。
☆
さて、ここからが本題です。
この曲のスゴイところは〜
「B」の1〜2小節目
|な、み、だ、が|
|お、も、わ、ず|のところです。
この2小節目(おもわず)は、
コード「Dm」で、
メロディーが
「ラ、♯ソ、ファ、ファ」なんです。
「ビックリしましたか?」
「いや、何だかわからない?」
解説しましょう。
この「♯ソ」の次に「ラ」があるなら
驚きません。
「ラ」に行くための半音下の
アプローチ・ノートですから
ごくごく普通です。
ところが、
この「♯ソ」は「ファ」に行っています。
普通「ラ」から「ファ」に行く経過音は
「ソ(ナチュラル)」に決まっています。
「ラ、ソ、ファ、ファ」になります。
スケールは「ドリアン」ですからね。
では「♯ソ」は、異名同音の「♭ラ」で
ブルーノート「♭5」なのでしょうか?
その可能性もあるかもしれませんが、
ここは「♯ソ」で良いと思います。
「B」の1小節目
|な、み、だ、が|のメロディーは
|ラ、ラ、ラ、♯ソ|で
「が=♯ソ」のすぐ後で
2小節目|お、も、わ、ず|の
「も=♯ソ」が出て来るのです。
前小節の「♯ソ」を次の小節で
もう1回繰り返して使ったのですね。
「♭5」ではない理由として
後半に別の形が出て来ますので
そこでもう1度説明しますね。
では、この「♯ソ」は何でしょう?
答えは「♯4=♯11」で、
スケールは「ドリアン♯4」ですね。
スケールの構成音は
「レ、ミ、ファ、♯ソ、ラ、シ、ド」
海外のジャズ理論書には
以前から出ていたスケールですが、
(日本のジャズ理論書は遅れていて)
最近の教則本で少しずつ
日本語でも見かけるようになりました。
従来のジャズ理論を学んだ人なら
「HmP5↓」を知っていますよね。
「完全5度下のハーモニック・マイナー」。
このような言い方で「ドリアン♯4」を
説明すると「HmP4↓」になります。
「完全4度下のハーモニック・マイナー」。
つまり「Dm7」のルート「D音」から
完全4度下「A音」の和声的短音階。
逆に言えば「Am」の和声的短音階を
「レ」から弾けば「Dドリアン♯4」
になります。
「Am」の和声的短音階
「ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、♯ソ」
「Dドリアン♯4」
「レ、ミ、ファ、♯ソ、ラ、シ、ド」
「わかりますか?」
次に、この曲の後半で、
別の形で使われている所を見て下さい。
「C」の5〜6小節目
|わ、か、い、|
|ふ、たー、り、が|のところです。
この2小節のコードは「Dm」で
6小節目のメロディーは
|ラ、ラ、♯ソ、ラ、♯ソ|です。
次の7小節目はコード「Am」で
8分休符が入ってからメロディー「ミ」。
つまり6小節目、最後の「♯ソ」は
完全に独立して使われていますよね。
ということは「♯11=♯4」です。
もし異名同音「♭ラ」
(ブルーノート)なら
次に「ミ」へ行くのは(休符が入っても)
何か変?ブルースっぽくありません。
「いかがでしたか?」
この曲の「すごさ」がわかりましたか?
でもね、不思議です。
この曲が発表されたのは
1961年(昭和36年)で
映画の公開は1962年3月。
現在でも「ドリアン♯4」なんて
知らない人がほとんどなのに、
約57年も前に作曲者は
知っていたのでしょうか?
多分、別の理由で使ったのでしょうね。
例えば、
Amの和声的短音階を意識して作った。
または、
民族音楽的な音階を使っている?
☆
さて、この曲、
これで話が終りではありません。
何と!この後にもっともっとスゴイ、
「もう信じられな〜い」
「絶対にありえない!」
驚きの音使いが出て来るのです。
「ジャズ理論上級者は絶対に読んでね」
お楽しみに!
terusannoyume at 23:57|Permalink│Comments(0)│