ザ・リアル・ブック研究

2012年12月10日

「AUTUMN IN NEW YORK」分析(6)

コード進行の勉強を続けます。

「THE REAL BOOK」(VOL.1)
38ページを開いて下さい。
「AUTUMN IN NEW YORK」の続きです。

前回は、25〜28小節(1拍目)まで
原曲のコード進行を分析しましたね。

これが原曲でした。

|Fm C7|Fm A♭(♯5)|
|D♭ A♭(♯5)|D♭ Fm7(♭5)|

そして、
これは分かりやすくしたものでしたね。

|Fm C7|Fm A♭7|
|D♭ A♭7|D♭(1拍目まで)|

ここまでが復習です。

         ☆

さて今回は、とても興味深い話をしましょう。
前回省略した「♯5」についてです。

原曲に「A♭(♯5)」がありますね。

コード・トーンは
「♭ラ、ド、ミ」ですね。

第1転回型は
「ド、ミ、♭ラ」ですが
「♭ラ」を「♯ソ」で考えると
「C(♯5」になります。

第2転回型は
「ミ、♭ラ、ド」ですが
「♭ラ」を「♯ソ」に、そして
「ド」は「♯B」と考えると
「E(♯5」になります。

つまり
「A♭(♯5)」と
「C(♯5」、「E(♯5)」は
構成音がすべて同じコードです。

この3つの各コードに
「♭7」(短7度)を加えると
「A♭7(♯5)」と
「C7(♯5)」、「E7(♯5)」になりますね。

ここまでが<前置き>(予備知識)です。

さて、ここからが興味深い話です。

原曲の27小節目を思い出して下さい。

|D♭M7 A♭7(♯5)|です。

2つ目のコード「A♭7(♯5)」を見てから
「ザ・リアル・ブック」の同じ小節(27)
2つ目のコードを見て下さい。

「あ!」っと思いませんか?

もう1つ、興味深い話をしましょう。

原曲の28小節目を思い出して下さい。

|D♭M7 Fm7(♭5)|です。

1つ目のコード「D♭M7」の
代理コードを知っていますか?
ジャズ理論を学んだ人なら、
すぐに思い出すトニックの代理です。

分かった人は
「ザ・リアル・ブック」の同じ小節(28)
1つ目のコードを見て下さい。

これも「あ!」っと思いませんか?

つまり
原曲とは、まったく関係ない
と思っていたコードが、
実は密接に関係していた!

      ☆

ここで課題です。
原曲28小節、2つ目のコード、
「Fm7(♭7)」は、
まったく関係ないように見えますが、
どう解釈したらいいのでしょう?

ヒントは、
「D♭M7」の代理は「?」でした。

では「Fm7(♭5)」の大元は?
と考えると、すぐ分かりますね。

ただし、
そのコードがここで使えるか、
というと、ちょっとキツイかな?
(次のコードとの関係が…?)

では、もう1つ、関連の課題です。

この「Fm7(♭5)」のところは、
左手ベース音、右手コードで弾く場合
どのように弾いたらいいでしょう?

つまり、次の小節の
「Gm7」(メロディー含めて)に
各声部がきれいにつながるには…?

(続く)


terusannoyume at 07:27|PermalinkComments(1)TrackBack(0)
プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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