2020年10月15日

「ヒメノ」楽曲分析12

長年ジャズを教えて来たけれど、
こんなことは考えたこともなかった。
「ヒメノ」を分析して良かった。

作曲者はこんなふうに考えて
作ったのではないと思うけれど、
たった1つのコードを見て、
そこからいろいろな可能性を考えて、
新たな発見をすることは、
とても面白いことだ。

これからも分析を続けよう。

パスカル・ヒメノ楽曲分析(12)
☆「GIMENO」(ヒメノ)
演奏会用リズム・エチュード第1集
6曲目「Final」(フィナーレ)

通常のジャズ理論では、
キーCで「Dm7」のスケールは
ドリアンを使う。
全部の音が白鍵なのでよく合うからだ。
そこで「フリジアン」(PHRYGIAN)を
使うなんて普通は考えられない。

しかし、よく考えてみると
「これもありかな」と気が付いた。

キーCで「Dm7」の前後に来る
コードを考えてみよう。

まず「Dm7」の前に来るコードは
この曲のイントロのように「A7」
が来る場合が多い。

|C|A7|Dm7|G7|

この「A7」には
オルタード・スケールを使うことが多い。

次に「Dm7」の後に来るコードは
ほとんど「G7」が来る。
この曲のイントロでもそうなっている。
そして、このコードには(通常では)
ミクソ・リディアンを使うけれど、
オルタードも使う。
この曲でもオルタード系のコードになっている。

つまり「Dm7」の前後のコードに
オルタード・スケールを使うと、
どちらのコードにも
「♭シ」と「♭ミ」が含まれている。

「A7」では
「♭シ=♭9」「♭ミ=♭5」

「G7」では
「♭シ=♯9」「♭ミ=♭13」
ということになる。

それなら、この2つのコードの間にある
「Dm7」でも「♭シ」と「♭ミ」が
使えるのではないか?

そう思って、早速実験を開始した。
この特殊な使い方が自然に聞こえるように
前後のコードの押さえ方、フレーズなどを
工夫して弾いてみたところピッタリ合った。

通常の「Dm7」のジャズ・コード
「ファ、ラ、ド、ミ」は使えない。
それは当然のことで、
「ミ=9」を「♭ミ=♭9」にしたからだ。

今まで何回も言ったように、
今回の話は
上手く使える人以外はやらない方がいい。
特にセッションなどでは絶対に合わない。

もし使いたい場合は、
ソロ・ピアノで、自然に聞こえるように、
(曲全体がこの雰囲気に合うような)
本格的なジャズのオリジナルで使うなら
いいと思う。

そのためには
各自がじっくりと研究することだね。
健闘(検討)を祈る!

(続く)


terusannoyume at 20:58│Comments(0) コード進行の勉強 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
Archives
カプースチン・ピアノ曲集