2011年01月16日

ブルースの複雑化(1)

リアルブック研究「B」(3)

「THE REAL BOOK」 VOL.1
(6th edition)

ジャズ曲集の定番「ザ・リアルブック」から
A,B,C 〜 順に何曲か取り上げ、
簡単な解説を書いています。

「B」で始まる曲名
(「ザ・リアルブック」第1巻40〜64ページ)の中から
<ブルースを見付ける課題>を続けましょう。

前回は、7曲の内、3曲を取り上げたので、
残り4曲ですね。
(60ページの曲は別にして下さい。
曲名に「〜Blues」と書いてありますが、
コード進行を見るとブルースとは思えませんので)

今回からは<ブルースの複雑化>を学びましょう。

中級〜上級者向けの話ですが、
初心者でも何となく分かると思います。

残り4曲で分かりやすいのは64ページの曲ですね。

最初の12小節は
ブルースとは関係ないコード進行のメロディーがあります。

この12小節をイントロと思えば、
次からはブルース形式になっていますね。

アドリブ・コーラスも「Fブルース」と指定してあるので
完全なブルースです。

ただし少し複雑化していますよね。

楽譜の(上から4段目)「B」から説明しますね。
(ここからがブルースですから…)

4小節目に「A7」があります。

3拍目裏の位置にコード・ネームが書いてありますが、
メロディーを見ると2拍目裏から「A7」ですね。

この「A7」は、
次の小節「B♭7」に半音したから解決するコードです。

ブルースで、
ここ(4小節目)に半音下のコードを持って来るのは、
珍しい例ですよね。

この「A7」はテーマの時だけで、
アドリブ・コーラスの時は省略していいと思います。

次に複雑化している小節は、7小節目。

普通なら「F7」(トニック)に帰って来る小節ですが、
メロディー音が「ミ」なので「F7」は使えませんね。

「FM7」になるので、代理コード「Am7」を使い、
さらに「トゥー、ファイブ」にする。

その「トゥー・ファイブ」が次の小節で半音下がる。

そして本来(そのキー)の「トゥー・ファイブ」に
さらに半音下がって行くのですね。

ここは複雑ですので楽譜を見ながら、
ひとつひとつ確認しながら読んで下さい。

9〜10小節目の「トゥー・ファイブ」の間に
「D♭7」が入っていますね。

「D♭9」なんて書いてありますが、
メロディーに「9」があるので
そのように書いたのですね。

「D♭7」でいいですよ。

この「D♭7」は、
メロディー「ミ♭」だけに対してのコードで、
4拍目裏「ド」は関係ありません。

だって全然合わない音ですよね。

この「ド」は、次の「C7」のルート(1度)を
「レ♭」に行くアプローチ・ノート的に使っているのですね。

THE REAL BOOK - VOLUME 1 Sixth Edition For All C Instruments

さて、残り3曲ですが、
さらに複雑化していますよ。

初心者には難しいかもしれませんが、
1〜2曲なら見付けられるかもしれません。

ぜひ<ブルース発見の旅>に挑戦してみて下さい。


terusannoyume at 23:58│Comments(0)TrackBack(0) iPad & iReal Book研究 

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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