2010年07月03日

「'S Wonderful」分析3

今回は「'S Wonderful」コード進行の続きです。

ガーシュインが原曲(ボーカル譜)に付けた
コード進行ではなく,
ソロ・ピアノ用に考えた特別な進行ですので、
とても勉強になりますよ。

まだ分析していない人は、
この先を読まないで下さい。

まず自分で分析しないと
あなたの実力が向上しませんからね。

答を先に知ってしまうと
「謎解き」の楽しさがなくなり
まったく面白くありません。

それでは、
分析した人のみ先に進んで下さい。

「ガーシュウィン ソングブック」(全音版)
  42〜43ページを開こう。

「'S Wonderful」分析(第1回)の<形式>は、
すでに書き込んでいますよね?

[A1] 1〜8

[A2] 9〜16

[B]  17〜24

[A3] 25〜32

では、始めます。

今回は
「A2」のコード進行を書き込んで下さい。

ガーシュウィン ソングブック 解説付 (zen-on piano library)

[A2] 9〜16

|E♭|E♭|Edim7 |Edim7|

|Fm7 Gm7|A♭M7 B♭7|

|E♭ |Cm Am7(♭5)|

<解説>

<9〜12>

この4小節は<1〜4>と同じですね。

|E♭|E♭|Edim7 |Edim7|

<13〜14>

|Fm7 Gm |A♭6 B♭7|

この楽譜のコードを忠実に書くと
「Gm」(3和音)と「A♭6」になっていますが、
現代なら以下のようになります。

|Fm7 Gm7|A♭M7 B♭7|

ダイアトニック・コード進行ですね。

<5〜6小節目>との違いを調べて下さい。

<14>
3〜4拍目「B♭7」に注目。

3拍目は「B♭7」でいいのですが、
4拍目は「B♭7(♯5)」ですね。

4拍目、右手の2つの音。
1番上の音は何でしょう?

「♭9=♭ド」の異名同音でしょうか?

ここは、もう1つの音(♯5)のように
次の小節の音に半音上行で解決していますね。

ですから「♭9」と言うより
「♯1?」のような使い方をしていますね。

そんなことは理論書には書いていませんが…。

<15〜16>

|E♭ |Cm Am7(♭5)|

<15>

右手だけ見ると「Cm」みたいですが、
これは「E♭6」です。

<16>

[B](17)から「キーG」に転調しますので
その前の小節(16)は
「ドミナント=D7」が一般的です。

しかし、
ここでは「Cm6」
または「Am7(♭5)=F7」
が来ていますね。

「サブドミナント・マイナー」からの転調です。

terusannoyume at 23:54│Comments(1)TrackBack(0) 「ガーシュウィン」分析研究 

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この記事へのコメント

1. Posted by genn   2010年08月10日 20:16
テル先生のガーシュウィン分析に刺激されて楽譜を買ってしまいました。難しくて弾けないのでMIDIにして聴いています。
こんなテンポでいいいんでしょうかね?ご指導下さい。
トラックバックさせていただきました。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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