2009年09月06日

カプースチンの「冗談」(2)

カプースチン「冗談」第2回目を学びましょう。

ブルースを発展させる方法の勉強になりますよ。

チャーリー・パーカー「コンファメイション」も登場。

「8つの演奏会用エチュード」(作品40)
  第5曲目「冗談」(Op.40-No 5)
  (プリズム版 58〜64ページ)

前回は、3コーラス目まで学んだので、
     今回は4コーラス目から始めます。

実は、3コーラス目と4コーラス目は
       同じコード進行なんです。

ここで、前回までの復習をしておきましょう。

1〜2コーラス目は、同じコード進行でした。

 [1]  9〜20 (12)
 [2] 21〜32 (12)

| D7 | D7 | D7 | D7 |

| G7 | G7 | D7 | D7 |

| A7 | G7 | D7 | A7 |

ブルースのもっとも基本的なコード進行です。

これに対して
 3〜4コーラス目は、発展させた進行になります。

 [3] 33〜44 (12)
 [4] 45〜56 (12)

| D7 | G7 | D7 | D7 |

| G7 | C7 | D7 | D7 |

| B♭7 | E♭7 A7 | D7 | A7 |

さて、1と2が同じ、3と4が同じ、ということは、
    5と6コーラス目も、ひょっとして同じかな?

「どう思いますか?」

わかりますよね。ファンの人は…。

同じものを、2回ずつ(わざと)見せておく。

そして、
お膳立てが調ったところでマジックが始まる。

「ああ、ワクワクするなあ」

今回は、どんなマジックを見せてくれるのかな。

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

5コーラス目のコード進行を調べましょう。

 [5] 57〜68(12)

| D7 | D7 G7 | D7 | E♭m7 A♭7 |

| G7 | G7 | D7 | D7  Bm7 B♭7 |

| A7 | G7 | D7 | A7 |

「あれ〜、ほとんど基本に戻っているね」

4小節目、本来は「D7」ですが、
「A♭7」は「D7」の代理コード。
(前回学びましたね。裏コード)

「E♭m7」は、「A♭7」のm7 です。

表のm7 7 「Am7 D7」に対して、
裏のm7 7「E♭m7 A♭7」になります。

カプースチンは、裏のm7 7 もよく使います。

8小節目は、次の「A7」に行く「僑蹌掘´坑掘廖

「Bm7 E7」ですが、「E7」を裏にして「B♭7」

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

5コーラス目で単純化した後、
 6コーラス目は、いったいどうなるんでしょうね。

単純化?複雑化?どちらだと思いますか?

な、な、なんと、両方なんです!

相反するものを両立させるなんて
    はたして本当に出来るのでしょうか?

 [6] 69〜82(10+4=14)

このコーラスは12小節ではなく
         14小節になっています。

11小節目「D7」が4小節引き延ばされています。

| D7 | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 | Am7 D7 |

| G7 | G7 | D7 | D7 |

| A7 | G7 | D7 | D7 | D7 | D7 |

ここで注目すべき進行は、1〜4小節目ですね。

これが複雑化。

それに対して、5小節目からは
1〜2コーラス目の基本の進行に戻しています。

これが単純化。

さて、1小節目の「トニック」から
5小節目「サブドミナント」へ行く有名なコード進行。

チャーリー・パーカーの「コンファメイション」
       を知っていますか?

セッションでよく演奏するパーカーの代表作です。

ジャズを演奏する人なら必修課題曲として有名。

「Confirmation」 Charlie Parker

| F | Em7(♭5) A7 | Dm7 G7 | Cm7 F7 | B♭7 |〜

この進行を「キーF」から「キーD」に移調します。

☆パーカー「コンファメイション」

| D | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 (E7) | Am7 D7 |

☆カプースチン「冗談」

| D7 | C♯m7(♭5) F♯7 | Bm7 | Am7 D7 |

よ〜く見て下さいよ。

3小節目の「E7」がないだけですね。
パーカーの曲も出版社によっては
         「E7」がない譜もありました。

とにかく、
 この進行は有名なので12キーで練習して
    いつでも弾けるようにしています。

カプースチンは、この4小節を活かして
その後は基本のコード進行に戻していますね。

しかし、楽譜やCDでわかるように、
コード進行は単純化しても、他の要素、リズム、
左手の伴奏で変化を付けて展開させています。

最後の「D7」を4小節に引き延ばしたのは、
アドリブ・コーラスの終わりであると同時に、
次の7コーラス目からテーマに戻るので、
イントロ的な意味も持たせています。

本当のイントロ(1〜8)は8小節でしたから、
  ここでは半分の4小節にしたのでしょう。

それも、
カプースチンがよく使うトリッキーなリズム遊び。

これこそ本当にマジックみたいじゃないですか!

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、アドリブ・コーラスを盛り上げておいて、
 7コーラス目はテーマに戻り静かに終わる。

…と思ったら、とんでもない、とんでもない。

私たちは、またも裏をかかれることに…。

う〜ん、カプースチンを相手にする時は
          絶対に油断しちゃダメ。

    この続き、お楽しみに!

terusannoyume at 23:55│Comments(0)TrackBack(0) 「カプースチン」分析研究 

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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