2009年09月03日

カプースチンは奇術師!

「カプースチン・マジック」
と言う学説があることをご存じだろうか?

「何?、知らない!」

実は、誰も知らないのは当たり前で、
  今ここでテル先生が発表する説なのだ。

世界初の大変貴重な重大な発見であり、
 地球人類の魂の進歩向上に貢献する説
  である。(かもしれないのであるが…?)

「あ、ちょっと大げさだったかな?」

カプースチン分析研究結果発表小論文、
  または、気楽なジャズ理論エッセイ
           として読んでみてね。

          ☆

私は中学3年生の時、音楽家になる決意をした。

しかし、その1〜2年前、中学1年生の時は、
何と!本気で奇術師になるつもりだったのである。

奇術師には基本動作と言うべき心得がある。

最初に当たり前の動作(現象)を見せる。

そして、次に同じ動作をすると、あら不思議!

となる訳だ。

これと同じことを、カプースチンはよくやる。

具体的に説明しよう。

例えば、キーE♭

 | Fm7 | Gm7 | A♭M7 | B♭7 |

ジャズでよく使うコード進行だよね。
(ダイアトニック・スケール・コード進行)

この進行を、まず見せる。(聞かせておく)

そして4小節後に、もう1度〜

 | Fm7 | Gm7 | A♭M7 |  ?  |

このように聞かせてから

「さて、次のコードは?」と問い掛ける。

当然、あなたは自信をもって答える。

「バカにしないで、B♭7 に決まっテルじゃない」

そうすると、「残念でした」と言うように、
カプちゃんは(さりげなく)予想しない行動に出る。

「フィナーレ」(Op.40-No 8)47小節目を見よう。

<47〜50>

 | Fm7 | Gm7 | A♭M7 | B♭7 |

まず、当たり前の基本動作だ。
この後(次の小節)は、
当然「E♭」(トニック)へ進行する。

当然の現象、結果を見せて(聞かせて)おくんだ。

さて、ここから、いよいよ
   「カプースチン・マジック」だぞ。

4小節後の<55〜58>を見てくれ。

 | Fm7 | Gm7 | A♭M7 | Am7 D7 |

何と!ここでは「Am7 D7」ではないか。

そして次の小節、
   先程は「E♭(トニック)」だったが
今度はトニック代理コード「Gm7」になっている。

 | Fm7 | Gm7 | A♭M7 | Am7 D7 |

 | Gm7 | C7 | Fm7 | B♭7 |

この「Gm7」へ行くための「D7」、さらに、
その「D7」を分割して「Am7 D7」になる。

つまり、メチャクチャにコードを選ぶのではなく
    ちゃんと必然性があるんだね。

           ☆

もう少し学びたい人は「再現部」でも同じだ。

同じ曲内で、今度は
「キーF」になっているのもマジックなのだが、
     それは別の機会に話そう。

今回は、以下の小節を研究せよ。

<133〜136>

 | Gm7 | Am7 | B♭M7 | C7 | 〜(当たり前現象)

<141〜144>

 | Gm7 | Am7 | B♭M7 | E7 |〜(あら不思議現象!)

terusannoyume at 23:54│Comments(0)TrackBack(0) 「カプースチン」分析研究 

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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