2008年05月20日

「サマータイム」研究(2)

 〜NHKジャズピアノ講座(9−2)〜

 「あっと驚く、どんでん返し」の巻。
     
「国府弘子の今日からあなたもジャズピアニスト」
NHK趣味悠々テキスト(CD付き)税込1,260円

テキストの90ページを開いて下さい。
    <譜例9−1>「サマータイム」の途中です。

下から2段目、最初の小節。
[4](まずはメロディーフェイク)と書いてあります。

この2小節前からリズムが
           スイング(4ビート)になります。

そして、92ページの上段4小節目まで続きます。

この間にある「Dm7」をすべて「Dm」に変えましょう。

「Dm7」を使う時もありますが、まずは、
        あなたに基本を覚えてほしいからです。

「枯葉」の時に話しましたね。

マイナーキーのトニックは、「毅蹇廚基本。
                この曲では「Dm」です。
      
        そして、

「Dm」と書いてあっても「Dm6」と解釈する。

      ここまで学びました。

そこで、あなたは、
「じゃあ、レ、ファ、ラ、シを弾けばいいのか」と思う。

残念でした。

「Dm6」=「レ、ファ、ラ、シ」は、あくまでも基本コード。

 例えば、

「Dm7」=「レ、ファ、ラ、ド」が基本コードですが、
       ジャズ・ピアニストは、そうは弾きません。

90ページ下から2段目、最初の「Dm7」。
      「ファ、ド、ミ」になっていますね。
            「♭3、♭7、9」です。

では、「Dm6」にするには…?

「ファ、シ、ミ」(♭3、6、9)と弾きます。
    (「シ」はナチュラル)

弥勒菩薩様ですね。(ミロク=♭3、6、9)。

「A列車で行こう」の時に学んだ「C」のコードは、
    「C」=「ド、ミ、ソ」ではなく
          「ミ、ラ、レ」(3、6、9)でした。
  これは、メジャー、陰陽の陽、男性的なミロク。

「♭3、6、9」は、
      マイナー、陰陽の陰、女性的なミロク。

           ☆

91ページ上段、1小節目のベースを見て下さい。

「レ、ド、シ、ファ」(ベースライン)です。

ここのコードは「Dm7」が印刷されていますよね。

「このベースラインでいいのでしょうか?」
  「シ」の音は、どのように説明するのでしょう?

「Dm7」のコードトーンは、「レ、ファ、ラ、ド」。
「シ」はありませんから、独立して使えません。
経過的にしか使えなくて、跳躍は出来ません。

91ページ下段3小節目のベースライン。
「レ、ド、♭シ、ラ」→「ソ」へ〜。

このように経過的に使うならいいのです。

キーDmの調号は「♭」が1つ付いていますから、
この例の「シ」は当然「♭シ」です。

ところが、問題のベースラインは、
       わざわざ「ナチュラル」を付けている。
          
「なぜ、付けたのでしょ?」

「わかりますか?」

このままでは、この音「シ」は、ミストーンです。
  このベースラインは、「完全な間違い」です。
   「Dm7」のベースラインではありません。

「さて、あなたは、もう気付いているでしょうか?」

実は、このベースラインの方が正しいことを…?

「どういうことか?」

コードを「Dm7」ではなく「Dm6」で考えて下さい。
「レ、ファ、ラ、シ」で「シ」はコードトーンです。

コードトーンなら分散和音的に跳躍して使える。
「シ→ファ」(6→♭3)と跳んでもいい。

つまり、このベースラインは
          「Dm6」のラインだったのです。

           ☆

さらに、詳しく説明すれば、このベースラインの
    2小節にコード進行を付けると、

|Dm Bm7(♭5)|Em7(♭5) A7 |
|レ、ド、 シ、ファ | ミ、♭シ、 ラ、♯ド|

これは、マイナーキーの典型的なコードパターンで、
              応用範囲が広いです。

「Dm6」(レ、ファ、ラ、シ)の第3転回型は
    「Bm7(♭5)」(シ、レ、ファ、ラ)になり、
       まったく同じ構成音です。

ピアニストが「Dm6」を弾いているつもりでも、
    ベーシストが「シ、ファ」と弾いた時点で
     「Bm7(♭5)」になってしまうのですね。

このアレンジをした人は「Dm7」と書いておきながら
   本能的には「Dm6」を感じ取っているからこそ
         このベースラインを書いてしまった。

きっと、自分の頭の中では、わかっているのですよね?

とにかくマイナーのトニックは「毅蹇廚基本ということ、
    この実例からも、はっきりと証明されたでしょう!

terusannoyume at 07:54│Comments(4)TrackBack(0) NHKジャズピアノ講座 

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この記事へのコメント

1. Posted by ShiMo   2008年06月25日 05:14
 おはようございます。本当にテル先生のブログは僕にとって勉強になってます。今もNHKテキストに直接書き込んだり、ルーズリーフにテル先生のご指摘を書いたりしてます。
 番組は終わってしまいましたがこれからも引き続き、「NHKジャズピアノ講座」。を教材として執筆して頂けたら嬉しいです。
 僕はこのブログで学習させて頂いてます。無許可にっ。
 テル先生、ありがとうございます!
2. Posted by テルさん   2008年06月26日 00:32
 これからもNHK講座も続けます。
 最近書いている「カプースチン」の楽譜とCDは買いましたか?これはメチャクチャ勉強になりますよ。
 NHKの500倍ぐらい?いや、すご過ぎちゃって、みんな買った人はビックリですけれど、NHKと同じようにブログ読みながらなら少しずつ理解出来ると思います。(きっと…)。
3. Posted by shiMo   2008年06月26日 05:20
 おはようございます。
カプースチンさんの24のプレリュード、作品53は、スコアもCDも買いましたがなにぶんピアノ初心者で・・スコアを見てもなんかすごいのでは・・と。
 12キー、両手でスケールもまだ満足に弾けず、今はそれとNHKジャズピアノ講座・・で理論というか仕組みがほんの少し理解出来だしてるといいますか。独学でしたので運指もコードの積み方などめちゃくちゃでして、そんなんも今直してるトコです。
 全然追いついてないですが、ブルーボッサも気になるしテル先生のブログ読んでると購買意欲が・・(笑)
 なので近々注文する予定です。一生モノですし。
 コメントするといつも返事を頂けるので嬉しいです。おおっ、と。
 これからもテル先生のブログで勉強させて頂きます。ありがとうございます!
4. Posted by テルさん   2008年06月26日 08:28
 あ、「24の〜」を持っていたのですね。それでは新しい楽譜やCDを急いで買うこともないかな?
 基本が大切ですからね。スケールや、基本コードなどをしっかりマスターする時期だと思って練習に励んで下さい。
 新しい「カプースチン」は買う気になった時に買えばいいです。本当に「一生モノ」ですよ、これは…!

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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