2007年12月03日

「幻想即興曲」分析(4)

ショパン「幻想即興曲」(作品66)分析の続きです。
<Fantaisie-Impromptu Op.66>

前回までの分析(2)と(3)は応用編でしたので、
今回は分析(1)の続きで<9小節目>からです。

キーは、シャープ4つ「C♯m」(嬰ハ短調)でしたね。

        ☆       ☆

<9小節目>
「C♯m」
両手共に5〜6小節目と同じです。

<10小節目>
この小節(10)と前小節(9)を、よーく見て下さい。
どこが違いますか?
右手のメロディーは、ほとんど同じですが、
1音だけ「♯ラ」(♯A)に変わっていますね。
実は、この「♯ラ」(A♯)の音が重要なんです。

キー「C♯m」(♯が4つ)に「♯ラ」(A♯)が加わると、
キー「G♯m」(嬰ト短調)になります。

たったこの1音で転調が始まったのです。

この小節は、キー「G♯m」の「僑蹌掘腹5)」
A♯m7(♭5)「♯ラ、♯ド、ミ、♯ソ」(1,♭3,♭5,♭7)の
第1転回型「♯ド、ミ、♯ソ、♯ラ」です。

実は、この第1転回型は「C♯m6」とまったく同じですので、
その方が分かり易い人は「C♯m6」と思ってもいいです。

ジャズでは「僑蹌掘腹5)−坑掘廚伐鮗瓩靴泙垢、
クラシックですから「牽蹌供櫚坑掘廚任發まいません。

この小節の左手は、
「A♯m(♭5)」で解釈すると
「♯ド、♯ソ、♯ラ、ミ」(♭3、♭7、1、♭5)と
「ミ、♯ソ、♯ラ、♯ド」(♭5、♭7、1、♭3)
これは基本コードの第2転回型ですね。

「C♯m6」で解釈すると、
「1、5、6、♭3」と、次は「第1転回型」です。

<11小節目>
キー「G♯m」のドミナント「D♯7」ですと言いたいのですが、
まず最初に(クラシックの常套手段である)
ドミナント音(D♯)上のトニック(G♯m)が出て来ます。

ですから、まず「G♯m(Bass D♯)」ですね。
左手「♯レ、♯ソ、シ、♯レ」(第2転回型)

そして、本来のドミナント(属7の和音)である
D♯7「♯レ、×ファ(鍵盤上はソ)、♯ラ、♯ド」が登場します。
(「×ファ」は、「ファのダブル・シャープ」で実音「ソ」です)

<12小節目>
ここで、キー「G♯m」(嬰ト短調)への転調が完成しました。
「C♯m」から「G♯m」ですから「属調への転調」です。

G♯m「♯ソ、シ、♯レ」
左手は「♯ソ、♯レ、♯ソ、シ」(1,5,1,♭3)

右手のメロディーは、どうなっているのか?
わかりますか。

「G♯m」のコード・トーン「♯ソ、シ、♯レ」を
丸で囲ってみてから分析して下さい。
残りの音は、すべて装飾的な音です。
前小節(11)最後の1音(×ファ)も含めて分析して下さい。
コード・トーンに対して、下と上から装飾しているのですね。
ジャズで説明すると、下と上からのアプローチ・ノートです。

これ、ジャズで使えますよ。
いや、すでにジャズ演奏家は全員が使っていますよね。

       ☆         ☆

さて、5〜12小節目のコード進行をまとめておきましょう。
よーく見て、頭を整理して下さいよ。

[ A ] a (小節番号5〜12=計8小節)

|| C♯m | C♯m | D♯m7(♭5) | G♯7 | C♯m |
| A♯m7(♭5) (Bass C♯) | G♯m(Bass D♯) D♯7 | G♯m ||

キー「C♯m」と「G♯m」の
「僑蹌掘腹5)−坑掘櫚毅蹇廚能侏茲討い泙垢諭

「こ、こ、これって、ジャズじゃないのー!」

terusannoyume at 00:22│Comments(2)TrackBack(0) 愛と感謝の即興演奏法 

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この記事へのコメント

1. Posted by さちぴょん   2007年12月05日 03:48
ハ短調への移調奏やってみました、前半だけですが…。すごく頭を使いますね! 12小節目までは作りをしっかり頭に入れていたせいか、思ったよりスムーズに弾けました。その後は少し大変でした。21〜24小節がまったく「??」 続きの分析を楽しみに待っております☆
今、ハ短調バージョンの分析用楽譜を打ち込みで作ってみています(ヒマ人?!)。左手の和音を白玉にしてコードネームと和音記号を入れて…。ショパンの曲は大好きなので、少しでも秘密に近づけたら嬉しいです♪
2. Posted by テルさん   2007年12月13日 01:55
 最近は応用編をやっていますが、分析の続きも再開しますので、お楽しみに。
 楽しみにしてくれている人がいると続ける気になります。
 いつも、ありがとう。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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