2007年11月30日

「幻想即興曲」分析(1)

ショパン「幻想即興曲」(作品66)を分析します。

<Fantaisie-Impromptu Op.66>

キーは、シャープ4つ「C♯m」(嬰ハ短調)です。

♪前奏(小節番号1〜4=計4小節)
|| G♯7 | G♯7 | C♯m | C♯m ||

<1〜2小節目>
最初の2小節は「♯ソ」の音のみ(オクターブで)。
上の音は右手(m.d.)、下の音は左手( m.g.)で弾きます。
コードはありませんが、付けるなら当然「G♯7」です。
「キーC♯m」のドミナント(属和音)ですからね。
試しに「G♯7」を弾いてみて下さい。
「♯ソ、♯シ=(鍵盤上はド)、♯レ、♯ファ」

<3〜4小節目>
「C♯m」(♯ド、ミ、♯ソ)の基本型、第1転回型、
第2転回型を練習しておきましょう。
ここでは、左手で次のような分散和音を弾いています。
「♯ド、♯ソ、♯ド、ミ」(1,5,1,♭3)

♪第1部
[ A ] a (小節番号5〜12=計8小節)

<5〜6小節目>
「C♯m」(♯ド、ミ、♯ソ)を2小節繰り返します。
左手の分散和音は「♯ド、♯ソ、♯ド、ミ」と、
「ミ、♯ソ、♯ド、ミ」(第1転回型)を使っています。

右手メロディーは
「♯ド、ミ、♯ソ」の音を○(丸)で囲いましょう。
丸以外の音は装飾的な音ですので、見分け易くなりますよ。

<7小節目>
「D♯m7(♭5)」の基本型は「♯レ、♯ファ、ラ、♯ド」
第1転回型は「♯ファ、ラ、♯ド、♯レ」で「F♯m6」と同じです。
第2〜第3転回型も練習しましょう。

この小節の左手は、
「♯レ、ラ、♯ド、♯ファ」(1、♭5,♭7,♭3)と
「♯ファ、♯ド、♯レ、ラ」(♭3,♭7,1,♭5)です。

右手メロディーは、第2転回型から弾き始めていますね。

<8小節目>
「G♯7」の基本型は
「♯ソ、♯シ(鍵盤上はド)、♯レ、♯ファ」
第1〜第3転回型も練習しましょう。

この小節の左手は
「♯ソ、♯レ、♯ファ、♯シ」(1,5,♭7,3)

右手メロディーは、コードトーンを丸で囲いましょう。
丸以外が装飾的な音です。
このフレーズは、ジャズで使えますよ。
じっくり研究しましょう。

         〜 続く 〜

terusannoyume at 06:22│Comments(3)TrackBack(0) 愛と感謝の即興演奏法 

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この記事へのコメント

1. Posted by さちぴょん   2007年12月01日 02:59
「幻想即興曲」!今日久々に昔の楽譜を引っぱり出して弾いてみたところだったので嬉しくなりました。だいぶ忘れてはいたものの、ゆっくり弾いていくと、意外にも手は進みました。最近はカプースチンばかり弾いていて、手がなかなか進んでくれないものに慣れていたので、グンと楽に感じました。でも過去の譜読みが雑で、♯シをドと勝手に読み換えてしまっていたりした個所がいくつかあって、そういうのがうろ覚えの原因になっていたことがわかりました。テル先生の分析を読んで更に納得! 右手もアルペジオをもとにした動きだったのですね。
2. Posted by さちぴょん   2007年12月01日 03:01
(つづき)始め時間がかかっても、コードでじっくりと分析しながら譜読みを進めていけば、確実に、逆にもっと短時間で覚えられたはず、と確信しました。これからはそんな愚かな譜読みは二度としません(笑)。それから、前は「こんなに難しいこの曲がなぜ即興曲という名前なのか」信じられなかったのですが、今は納得できる気がします。ショパンの分析、おもしろそうですね。思えば今までこんなアプローチで教えてくれた先生は一人もいませんでした。あんな素敵な曲達をただ弾くだけなんてもったいないですよね!
3. Posted by テルさん   2007年12月01日 06:41
 この曲、ショパンの中でも人気のある曲ですよね。最後まで徹底分析しましたが、本当に良く出来ている曲なのです。
 これから、それを少しずつ明らかにしていきますので、内容を理解しながら再挑戦して下さい。以前よりも良くわかると思いますよ。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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