2007年02月01日

ピアノを美しく響かせる(1)

「ピアノさん、こんにちは。
今日は私がお相手させていただきます。
よろしくお願いします。美しく鳴って下さいね」

演奏活動をすると毎回会場が違います。
当然ですが、ピアノもその会場にあるものを使用します。
会場に着くと、私はいつも鍵盤一つ一つを拭きながら
ピアノさんに話し掛けます。

「今日はいい天気でよかったですね」
「ピアノさんも調子が良さそうですね」

人と人が出会うと、必ず挨拶を交わします。
「こんにちは」
「お元気ですか」

では、ピアノさんと出会った時は?
もう当然の話です。

「なぜ?」

ピアノさんと私で、その日の音楽を奏でるからです。
お互いに、一人では生きて行けない。
2人で1人。一心同体。
話し掛けない方がおかしい。
挨拶しない方が失礼だと思いませんか?

       ☆

私にとって、挨拶は当たり前であって
さらに先の話があります。
(冗談と思ってもいいですよ)。

「私の奏でた1音1音が光のシャワーに変わり、
 会場にいる人々の心が幸せになりますように」
「最低限、公害を撒き散らすような音楽にしないで下さい」
「ピアノさん、本当によろしく、お願いしますね」

実は、この思いはコンサートの時だけでなく
私が以前から常に心掛けていることなのです。

    ☆      ☆

あなたは、なぜ音楽を学ぶのですか?
「楽しいから」
「カッコよさそうだから」
そうですね。第一歩はそこからです。

では、プロになった方は
何のために音楽をやっているのですか?
「生活のため」
そうですよね。私たちは体を維持していくためには収入が必要です。

では、楽しくて生活も安定していたら(いえ、安定していなくても)
本当は、何のために音楽をやるのでしょう?

「♪〜♪〜♪〜♪〜」

この答えは、あなた自身で考えて下さい。
1人1人、答えが違うでしょうね。

    ☆   ☆   ☆

あなたも今日から家にあるピアノさんに話し掛けて下さい。

「わたしが落ち込んだ時に、いつも励ましてくれてありがとう」
「ピアノさんとは一生、付き合うつもりよ」
「今日もよろしくね。美しく響いて下さいね」

毎日毎日、あなたが言いたいことを話し掛けて下さい。
不思議なことに、ピアノの響きが変わって来ますよ。

 「おいおい、冗談だろ」
 「わたしは、信じるわ」

あなたの魂の成長度が試される時です。
(これも冗談と思われそうですね!)

terusannoyume at 06:37│Comments(6)TrackBack(0) テクニック向上を目指して 

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この記事へのコメント

1. Posted by みなみ   2007年02月01日 17:22
こんにちは。
私もピアノに語りかけるタイプ!?なので今日のブログよくわかります。
学生時代の恩師が退官される時「楽しい時にはあまりピアノの練習をしないでしょう?悲しい時にはピアノは自分を救ってくれるわ」とおっしゃった言葉に妙に納得してしまった自分がいるのですが、ピアノのを練習するときは、やはりいろいろな思いがこみ上げてきます。そしてピアノに語りかけてしまうのです。
今は、第二子出産間近であまり自分自身の練習出来ていませんが、我が子を教える時にはピアノの技術や音楽性と共にいろいろな意味で感受性を養いたいと思う今日この頃です…
2. Posted by テルさん   2007年02月02日 06:34
みなみさん、ありがとう。

わかる人が1人でもいればいいと思って書いたのですが、こんなに早くコメントもらえるなんて嬉しいです。

「語り掛ける人」は、まだまだ沢山いると思っています。
でも、そんなことを他人に言うと「おかしい人」「変な人」と思われるから言えない人もいますよ。きっと。

だから、あえて書いたのです。
「音楽家は堂々と言っていいんだよ」という私からのメッセージなのです。

数年後、子供さんにも伝えて下さい。
このメッセージを。
3. Posted by    2007年02月02日 10:59
テルさん こんにちわ
私もピアノに語りかけますよ〜語りかけるというか、よく喧嘩してます。ちょっと?今日鍵盤重いよ?!とか ピアノとグルになって 今日の景ちゃん 下手じゃない?とか。それにピアノさぼってると部屋の向こうから じと〜〜〜〜って威圧感を放ってきますwww

そうそうブログにコメントありがとうございます 
帽子の解体は ジャズでいうコピーなんですね
テルさんみたいになんでも出来るピアノ職人になりたい〜〜〜〜
4. Posted by    2007年02月02日 11:04
続き

私がジャズをやろうと思ったのが 音楽事務所に所属してた時、ジャズが弾けないことには仕事が増えないということで 練習に入ったんですが まず 聴くこと。そしてセッションに参加すること と言われ 超四苦八苦しながら 近所のジャズバーに通ったんですけど、この間テルさんがブログに書いてたみたいに いきなりセッション言われたかて〜〜〜分かりませんがな状態。なんのコードなのかサイズがどうだとか アドリブがと ハードすぎて  いきなりピアノを前に 萎縮して 思わず 手が出ずに 頑張って 一指し指1本でポロポロ 合いそうな音を鳴らしていく カルトクイズでした 
5. Posted by 景   2007年02月02日 11:11
(長文すみません)
私は譜読みが 多分得意な方なのですけど ディズニーの曲をジャズアレンジした楽譜が入りやすかったので その2段譜で ジャズを弾いてみたんですけど ジャズのノリが私にないのか 譜面は読めるし 前ノリっていうんでしたっけ?それも楽譜に書いてあれば そのタイミングで入れるんですけど クラシックの譜読みが出来るのと同じ感覚で 「譜読み」が出来た イコール弾けた にはなるんですけど イマイチ ジャズの譜面をみても 差がないように感じるんですよねぇ
う〜む 重症です…
これがジャズのノリよこれぞジャズならではなのよっていうのが譜面にしても なんだかつかめない…いや〜どうしたもんでしょうねえ
ちょっとまたジャズ2段譜で解体してみますが…
6. Posted by テルさん   2007年02月02日 21:03
景さん、こんにちは。沢山のコメントありがとう。ジャズ脱落者の典型的な実例を書いてくれて嬉しいです。過去に同じ症状で脱落して行った人たちが沢山います。今も全国に沢山いるはずです。「どうして上手くならないのか?」と悩んでいる人たちです。
 景さんは、本当に重症だと思いますか?違いますよ。重要な点を見落としているだけです。この問題は近い内に本文で取り上げます。
 でも、ヒントを与えましょう。
 景さんのコメント、最後の1行が問題なのです。楽譜を見てジャズが弾けるようになるなら、全国の人は誰も悩みません。全国の落伍しそうな人がこのブログで救われる、名誉ある第1号は景さんになりそうですね。

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プロフィール
坂元輝(さかもと・てる)
「渡辺貞夫リハーサル・オーケストラ」で、プロ入り(21歳)。
22歳、自己のピアノ・トリオでもライヴ・ハウスで活動開始。
23歳、「ブルー・アランフェス」テリー・ハーマン・トリオ(日本コロムビア)
以後19枚のアルバム発売(現在廃盤)。
28歳、ジャズ・ピアノ教則本「レッツ・プレイ・ジャズ・ピアノ/VOL.1」
以後14冊(音楽之友社)現在絶版。
ネットで高値で取引されている?
(うそ!きっと安いよ)
他に、2冊(中央アート出版社)。
音楽指導歴40年。
プロから趣味の人まで対象に東京、京都にて指導を続けている。
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